3月28日の「イスラエルとアメリカの無法を許すな!パレスチナ土地の日デモ」(呼びかけ:Palestinians of Japan、パレスチナに平和を!緊急行動)に参加しました。約700人が新宿駅東口からデモ行進を行いました。
このデモについて東京新聞が報じています(「『侵攻やめろ』イスラエルのガザ攻撃に抗議のデモ 新宿駅周辺で市民団体、中東の平和を訴え行進」、3月28日)。報じたこと自体には意味があります。しかし、見出しと記事の枠組みには看過できない問題があります。
「中東の平和を訴え行進」——このデモはそのようなものだったでしょうか。
デモの正式名称は「イスラエルとアメリカの無法を許すな!パレスチナ土地の日デモ」であり、加害主体を名指しし、その「無法」への抗議として明確に位置づけられています。コールでは「Free Palestine」「パレスチナ解放」「Boycott Israel」「Boycott U.S.A.」「Land Back」「From the river to the sea」「Palestine will be free」「Abolish Israel」「民族浄化とめろ」「経済制裁」「平和の前にパレスチナ解放」「The people united will never be defeated」「فلسطين حرة حرة إسرائيل برة برة」など、入植植民地主義に対する具体的な政治的要求が日本語・英語・アラビア語で叫ばれていました。呼びかけ文は「日本がアジアの国々とアイヌモシリや琉球・沖縄から収奪することを許す、深く根付いた植民地主義と構造的差別を変える責任」にまで射程を広げていました。
記事はこれらをすべて落とし、「中東の平和」という言葉に回収しています。
さらに記事が取り上げた声は、84歳の参加者の「やろうと思えば話し合いで解決できるのではないか。殺し合いはやめよう」と、通りがかりの77歳の方の「人が亡くなるのは嫌。殺さないでほしい」という、人道的・情緒的な枠組みのコメントのみです。解放・制裁・解体・土地返還を求めていた約700人の政治的な声は、記事のどこにも現れません。
「土地の日」の説明も、イスラエルによる土地接収への抗議で6人が死亡したという事実にとどまり、呼びかけ文が明記していた「シオニズムと植民地主義に対する抗議」としての意味づけは消えています。
「中東の平和を訴える」というフレーミングは、加害と被害の非対称性を消し、入植植民地主義・占領・民族浄化という構造的な問題を、あたかも双方が歩み寄れば解決する「紛争」であるかのように見せます。植民地主義の解体が先にあって、はじめてその遠くに平和という言葉が見えてきます。「平和」を先に置くことは、この順序を逆転させ、解放という要求を消去します。
パレスチナにおける植民地主義という問題を「中東情勢」「紛争」「平和」という脱政治化された言葉に置き換えることで、読者が構造を認識する回路が閉ざされていくことに繋がりかねない、そのことを報道関係者はよく承知してほしいです。
なお、「土地の日」に合わせた行動は東京だけではなく、日本各地で行われました。
「土地の日」デモの後、たまたま同デモに参加していた知り合いに会い、食事をご一緒しました。この日の新宿では「土地の日」デモの後にもデモやアクションが続いており、食事の後に東南口広場での「推しは平和憲法!平和フェス ~戦争・独裁ムリすぎ!~」(主催:平和と民主主義を求めるく青と花と光のレジスタンス〉、呼びかけ人:中山永月)に途中参加しました。最近のデモで広がっているペンライトが多く見られました。
この平和フェスでよかったのは、呼びかけ文で琉球/沖縄への基地押し付けの問題に正面から触れていたことです。「本土の人間であるわたしたちは沖縄に対する歴史的な差別と不公平の加害者であることをまずは自覚しよう」と呼びかけていました。スピーチでも沖縄出身の人が登壇されたほか、馬毛島の軍事化をはじめとする南西シフトに反対している「しまじまスタンディング」のスピーチもありました。しかし、琉球/沖縄の人が基地問題や在日米軍の問題、軍事化が進んでいることを訴えるために東京に来なければならないこと自体に、非対称性を感じます。途中参加で、次の「入管法改悪反対アクション」もありましたので、部分的にしかいられませんでしたが、この2つのスピーチを聞けてよかったです。
新宿駅南口での「入管法改悪反対アクション」(主催:入管法改悪反対アクション@新宿南口 @shinjuku-mimami.bsky.social)にも参加し、スピーチもしました。新宿で先述のデモもあったためか、参加人数は普段より多く、リレースピーチは約2時間にわたって行われました。どのスピーチも素晴らしかったです。
このアクションについても東京新聞が報じています(「『日本人の皆さんと、私は共に生きたい』 新宿で『入管法改悪反対アクション』 参加者がリレーで訴え」、3月30日)。
記事にもある外国籍の人のスピーチ——日本人は本当に外国人と共生するつもりがあるのか、という問いかけを聞いて、こんなことを言わせてしまう社会を作っている側として、本当に情けなく思いました。